
1 冒頭
社会に出るにあたって、学生時代に思い描いていた夢や希望を膨らませていたら「そんなに甘くない世界だぞ」と打ち砕かれた人は少なからずいるのではないでしょうか。
自分の理想を叶えるために、好きな職種を選んだら、現実はそんな「好き」だけではどうしようもなかったなんて話は、決して珍しくはないことでしょう。
時には、仕事は理想通りだったのに、それを叶えられない職場だったり、人間関係に悩んだり、人の悩みは尽きないものでしょう。
そんな時に一度は誰もがよぎるのではないでしょうか?
「この仕事、辞めたいなあ」
私は退職をいけないとは思いません。その時代ごとに風潮や文化が異なる中で、避けるべき決断として考えられていますが、ちょっと待ってください。今を生きているのは、一体誰のためなのでしょう?
会社のため?
上司のため?
いいえ、何を隠そう、自分のためでしょう。
自分らしい生き方をできない会社に長く勤めていることが、自分の心身の健康を損なう場所であったなら、それは身を引くことも自分のためになる選択肢ではないでしょうか。
しかし、先のビジョンなしに、その場から逃げ出すような態度で退職をしてしまっては、その先は険しい道しか残らないことでしょう。これからのことを頭に入れたうえで、入念に準備をして、限りなく円満退職になるようにしていきましょう。
ここでは、退職・転職の失敗を回避するための方法をご紹介していきたいと思います。
2 今の職場に満足しない理由
まずはっきりさせておきたいのは、あなたがなぜ今の職場を辞めたいと思ったのかという動機です。実は些細なことで「辞めたい」と思っている人も多いのは確かです。
現代社会で初々しい社会人といえば、耳が痛い言葉ではあるかも知れませんが「ゆとり世代」と呼ばれる世代の人たちです。褒めて伸ばす教育方針で育ち、あまり怒られた経験は少ないのではないでしょうか。そのために、忍耐力に欠ける側面があると言われています。故に、ちょっとしたことで心が折れてしまう人も一部いるということです。
本当に退職するほどの理由なのか、今一度足を止めて考えてみましょう。
*内面的要因
・仕事への意欲、やりがいの消沈
結構多いのが、エンジンフル回転で休む暇もなく働き続けた人が、休むことを知るとふと我に返ったように抱く感情です。意欲に満ち溢れていたものの、給与明細を見て仕事と賃金が割に合っていないと感じたり、友人は休みを多く貰えているのに、自分はまともに休むことなく働いていることが馬鹿らしくなったりといった意欲の消沈が挙げられます。単に仕事が楽しくないと思っている人もいるかも知れませんね。
また理想とのギャップで、やりがいを見出せなくなったり、自分の「やりたいこと」ができず、会社の経営理念を理解できなかったりなどの、価値観の相違からもやりがいを感じることができなくなってしまう人もいるようです。
・人間関係での悩み
案外一番多い原因だと思います。社会は人との繋がりで回っていますから、逃れられないものだと考えてくださいね。
しかし、上司や先輩、同僚との軋轢や風通しの悪い人間関係は、当然ながらその人を潰すことにもなります。まして自分が被害者であったなら、なおさらだと思います。
新人研修や指導がおざなりになっている会社というのも、新人からすると居心地が悪い会社なのではないでしょうか。すでに作られている雰囲気に入り込める隙間がないと遠慮してしまう人もいることでしょう。
・仕事でのミス
仕事でのミスが多発してしまうと、「自分ってこの仕事に向いていないのかな……」と悩み、自信喪失に繋がってしまいます。自信がなくなると、今まで上手くいっていたことにすら「ミスをしたらどうしよう……」と不安を感じてしまうと思います。
また、10のうち9のミスがあるとすれば、自分の自信を維持できているのは成功した1のみ。この「1」を死守しようとします。するとどうなるでしょうか。ミスを恐れ、より消極的なところに自分を置いてしまうことになるのです。
*外面的要因
・パワハラ、モラハラ
パワーハラスメント、モラルハラスメントで苦しんでいる人は、やはり今の会社より良い場所を探したくなることでしょう。今は男女ともに社会に貢献している時代ですが、残念ながら男女差別や出産・育休に対する偏見は後を絶たないのが現実です。心無い言葉に傷ついているのではないでしょうか。
・劣悪な処遇
ノー残業を謳っているにも関わらず、それは「残業代が出ないから残業するな」というだけで、仕事量は圧倒的に残業しないと終わらないというパターンが比較的多いように思います。
また、交通費の支払いを回避したいからと、間接的に交通費を取らせないように仕向けたり、有休消化をさせてくれない雰囲気だったりすることも、やはり息が苦しいと感じてしまうことでしょう。
・残業が多い
たとえ残業代が出たとしても、やはりプライベートの時間も確保したいと思いますよね。1日12時間働いていて休憩がないというような状況だと、働く働かない云々以前に黒い会社ですよね。
また「後輩は先輩が退勤してからでないと退勤できない」という現場ならではの暗黙のルールを押し付けてきて帰れないという会社もないわけではありません。
3 次の職場に求めるもの
ここまでで、自分の退職理由は明確になって来たでしょうか?本当に退職する理由に感じてきているでしょうか。自分の力では解決不可能な問題だったでしょうか。
ここからは自分ではどうしようもないと感じている人へ、転職にあたり何を大切に仕事探しするとよいのかをご紹介していきます。
・今よりも良い処遇
たとえば、福利厚生が明確に記載されているところを探すようにしましょう。「法定残業時間○時間」といった記載には注意が必要です。残業代になっておらず、基本給に含まれている賃金の存在がある職種も0とは言い切れません。
育休、産休という女性にとっては重大な人生の局面に必要な休暇が、どれだけ取りやすい環境か、また実際の取得率などの情報はしっかり探して見つけるようにすると、休暇の実態にも気が付けると思います。
・良好な人間関係
人間関係を入社前から知る機会は少なく、実際の状況と見学時の対応の差異もなかなか見抜くのが難しいと思います。残念ながら、「お局」「関白」はいますし、全員と良好な関係を築ける職場というのは皆無と言っても過言ではありません。
人間様々な性格の集まりですから、必ず全員と親しくなる必要もありませんし、できないのではないかと思います。しかしできるだけ理想には近いところで働きたいですよね。
単純明快な見抜き方の一つとして、表情と挨拶のセットが挙げられます。百発百中ではないことを先にお伝えしておきますが、大体挨拶の所作を見て、その会社のゆとりや心持ちを図ることは出来ます。
たとえば、挨拶が流れるような動作の人が多いと、仕事も結構流しているような雰囲気、逆に笑顔ではきはきと挨拶することに抵抗がない人が多いと、不満が表面には出にくい雰囲気、もしくは不満を不満と思わずに仕事ができているといった推測が可能になってきます。
会社は人ですから、会社の理念への共感も大切ですが、よりよい雰囲気の会社を探すのであれば、社員の印象は要チェックです。
4 転職に向いている時期
さて、転職先への条件を考えたところで、どのようにして今の職場を辞めれば良いでしょうか。注意したいのは、ここに個人の激情を含めてはいけないということです。あくまでも社会人として、会社に対して敬意を払う心はどんな処遇を受けていても忘れてはいけません。
一度は働かせてもらっていた身です。極力迷惑をかけない配慮が求められてきます。その時期はたった一つです。
・年度末!これに限る
人事異動や転勤など大きな変化があるこの時期の退職が最も望ましいと言われています。ちなみに、この理由は会社への迷惑を最小限に抑えられるだけでなく、あなた自身の今後の転職活動にも大きな影響をもたらすとも言われています。
今の会社のせいで精神疾患を患ってしまった、あまりに陰湿ないじめに、生きていることさえ辛いといった緊急性のある退職に関してはこの限りではありませんが、なるべくは年度末を狙って年明けくらいから上司に相談していくようにすると引継ぎや募集をかけやすい状況にしていけます。
5 注意したいこと
円満退職の秘訣が年度末という節目にある背景には、中途退職への弊害があります。また、本当に退職をすることが最善の決断なのか、今一度自分の行動を振り返る機会を作り、自問自答をしてくださいね。
・中途退社は少なからず就活に影響する
中途退職をする人に向けられる感情は、よく言えば決断力があるというものではありますが、無鉄砲という認識をされる場合があるので注意が必要です。また、根気がないと思われ、転職先から「自分の会社もすぐに退職してしまうのではないか」と思わせてしまいます。
このような理由から、中途退職をするのは緊急性が高い状況で、どうしようもない最終手段という意識を持っておくようにしましょう。安易にその場から逃げようとするだけだと、後で痛い目をみることになってしまいます。
・今の職場で変えられることはないか見直す
再三考えることをおすすめしていますが、改めて今の職場を自分の身分から変える、あるいは変えるように上司を仕向けることが不可能なのか、今一度考え直してください。原因が少ないほど、改善の余地はありますし、働き続ける道を選ぶことができると思います。
・退職理由
もちろんのことですが「処遇に不満だから」「人間関係で躓いた」といった理由は、上司に良い印象を与えることが無いでしょう。むしろ会社の理念に即したパフォーマンスができていないといった事情の方が、上司もそれ以上何も言えないのではないかと思います。
自分勝手な理由は、現職の仲間たちからも白い目で見られてしまいます。あくまでも相手に最低限の迷惑で退職するようにしましょう。
6 まとめ
いかがだったでしょうか。「隣の芝生は青く見える」という慣用句があるように、自分の置かれた環境にない良いものは憧れとなり、羨ましくなるものです。しかし、ないものねだりをしていても、自分の満足できる居場所を見つけるのは難しいのです。
単なる憧れだけで今の職場を逃げるように去るのは、あなた自身の今後の影響を考えても良い決断ではありません。皆さんも自分の置かれた状況をよく考え、転職をするのか、働き続けるのか判断していきましょう。